※この記事は、先日(25/3/21 - 3/23)ベトナム・ダナンで開催されたStartup Weekendに参加した後輩エンジニアへのインタビューをもとに構成しています。
今回が初めての海外渡航であり、Startup Weekendへの参加も初めての経験でした。
—— まずは、Startup Weekendダナンへの参加を決めた理由を教えてください。
横山:アットウェア20周年パーティーの時に特定非営利活動法人StartupWeekendの理事である中本さんに出会ったのがきっかけです。過去にアットウェアからの参加者がいたこともあって興味を持ちました。それに「海外に行って何かしてみたい」という気持ちがあって。周りの話を聞いていると、Startup Weekendってけっこうハードなチャレンジみたいで、そういう経験もしてみたいと思ったんです。
—— 初めての海外渡航でのイベント参加は緊張しませんでしたか?
横山:かなり緊張しました。初めての海外だからわからないことが多くて不安でした。実はイベント自体もあんまり調べずに行ったので、どんな結末になるのか、自分が活躍できるのかなど、色々と不安でした。
—— 実際にベトナムに着いた時の第一印象はどうでしたか?
横山:まず「外国人多いな」と思いました(笑)。あとは人の態度がなんか色々強い、パワフルだなという印象です。誘導する時もアグレッシブなジェスチャーで誘導してきたり、声が大きかったり。タクシーの運転手さんもめっちゃ話しかけてくるんですよ。それから、イベント前にFacebookのグループに入って、参加者の自己紹介投稿を見たんですが、みなさんの経歴がすごくて驚きました。
—— Startup Weekendの雰囲気はどうでしたか?
横山:とにかく活気がありました。みんな勝手に喋る感じで。ただ、よく見ると他の人も最初は緊張している雰囲気がしました。参加者の経歴を聞くと、すでに会社経営している人もいて、すごいなと感じましたね。
イベントの最初にハーフベイクドという、無作為に選ばれたキーワードでアイデアを考えるセッションがあって、私たちは「洞窟」と「タピオカ」というキーワードで話し合いました。最初は「バインミー」というキーワードだったんですが、もっと突飛なものにしたくて取り直したんです。15分という時間がすごく短く感じました。でも意外と自分も意見を言えて、それが採用されたりして、参加できている感覚がありました。みんな初対面だったので全然まとまらなかったですけど(笑)。
—— アイデアピッチにも挑戦したそうですね?
横山:はい。ピッチした方がよいと言われていて、せっかくだからとアイデアがなかったけど手を上げることにしました。半分以上の人がピッチに立候補していたから、するかどうか迷ってたんですが、チャレンジしようという気持ちになりました。ピッチ自体はやってよかったです。上手くはできなかったけど、自分なりに頑張れたし、ちょっとウケたのが嬉しかったですね。
—— どんなアイデアをピッチしたんですか?
横山:英語で話したい日本人と日本文化に興味がある外国人をマッチさせる通話アプリを提案しました。
—— チーム選びの時はどうやって選びましたか?
横山:正直、ピッチだけでそれぞれのアイデアを理解するのは難しかったです。だから、アイデア自体より「自分が活躍できるチーム」を探しました。最終的に「ベトナム進出を考える日本の物販業者のテストマーケティングを支援し、ベトナムで日本食を展開するライブコマースのサービス」というアイデアのチームに入りました。
興味深かったのは、自発的に興味がある人に話しかけに行く形式だったこと。自ら動かないとチームにすら入れないんです。「やっぱりそうだよね」と少しびっくりしました。
—— チームではどんな役割を担当したんですか?
横山:エンジニアの役割をしました。アプリがあるサービスだったので、画面モックを作ったり、デモ画面を作ったり、システム的なことで意見を言ったりしました。
—— 最終的な結果はどうでしたか?
横山:チーム自体は2位に選ばれました!最終ピッチではリーダーと私でプレゼンをしました。私は画面の説明を担当しましたが、プレゼン自体は少し時間が押してしまったものの、概ねよかったと思います。「実際に困っている業者がいる」という課題設定が評価されたようです。
—— Startup Weekendを通じて学んだことは何ですか?
横山:いくつかありますが、まず「強みを発揮することの大切さ」です。指示を待っていたら、本当にいらない人間としてチームにいられなくなることを感じました。「君は何ができる?」と聞いてくれる人はいないんです。何もしなかったら勝手に進んで、何も貢献できなくなってしまう。だから無理やり発言したり、自分が役に立ちそうな場では率先して手を挙げました。そのおかげでチームの人と関係を築けたと思います。
次に「エンジニアとして素早くプロトタイプを作ることの重要さ」です。普段の開発と違って、半日で人に見せるものを作らないといけない手法が自分にはなかったんです。その場でツールを調べて、AI生成や画面モックツールを見つけてなんとか作ることができました。もっと普段から、スピーディーにプロトタイプを作る方法を確立していたら、モックの質も上げられたと思います。ビジネスチャンスがあっても、プロトタイプがなければ逃してしまうという感覚を実感できました。作ることが目的ではなく、いかに重要な部分をアピールするかが大事だと感じました。
また「チームメンバーの自発性」にも驚きました。黙っている人はいないんです。リーダーから「一番大人しい」と言われていた人でも、自分から見れば自ら行動していました。発表の後に自然に反省会が始まる様子も熱意を感じました。
一方で「チームビルディングの難しさ」も痛感しました。1+1が2以上にならない感覚を味わったんです。目の前の作業を片付けることに集中してしまって、最初にちゃんとチームビルディングをしなかったことを反省しています。アジャイル開発で解決しようとしている課題と似ている部分があるのかなと思いました。最終日のチームの目指すところを先に共有せずに進んでしまい、最終的なゴールがわからないまま作業したのは反省点です。
実際の起業家やコーチからもらったフィードバックも貴重でした。「仮説をしっかり立てること」「手段を決めて、すぐに検証することの大切さ」という指摘。机上の議論を重ねても意味はなく、実際にアイデアを試し、検証を繰り返すことが何より大切。「血と汗が滲むほど検証を重ねる」という言葉が印象に残っています。
—— この経験は今後のキャリアにどう影響すると思いますか?
横山:今まで頭でわかっていたことが、体で感じられたのが大きいです。具体的には「やった方がいいかな」「言った方がいいかな」と思ったらとにかく行動するということ。このパラダイムシフトを感じました。すぐには完璧にはできないと思いますが、どんどんできるようにしていきたいです。
あと、3日間でたくさん初めて会う人とコミュニケーションをとりましたが、やっぱり苦手だなと実感したので、そこは今後の課題です。
—— 同じように初めてのStartup Weekendへの参加を考えている人へのアドバイスをお願いします。
横山:一緒に来てくれる人(矢納さん、トミーさん)のサポートがあったから安心して参加できた面はあります。そういう仲間がいると心強いですね。あとは、ぶっちゃけきついですけど、劇的な経験になるので挑戦する価値は絶対にあります!
—— ありがとうございました。これからの活躍を楽しみにしています!
横山:こちらこそ、ありがとうございました!
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Startup Weekendとは?
Startup Weekendは54時間で行われる起業体験イベント。金曜の夜に始まり、日曜の夜に終わるまでの間に、参加者はチームを組み、アイデアを形にし、実際に動くプロトタイプやビジネスモデルを作り上げます。世界各国で開催されており、起業家精神を育む場として知られています。
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