今日は、とある日に実施したレトロスペクティブ(ふりかえり)についてご紹介します。

紹介内容は、場の目的にあっていると思うアクティビティ(ふりかえりの場で用いる手法)を選択したというお話で、実施して感じたことについて触れたいと思います。

TL;DR 3行まとめ

  • フェーズやメンバーの思いに合わせてレトロスペクティブのやり方を変えて試してみたらいい感触を得られた。
  • レトロスペクティブをどんな場にしたいかという認識を合わせてから本題に入ると、どのような場にするのかという指標になり、場がイイ感じで流れるように進んだ。
  • 目的に合わせてアクティビティを選択することで、効果的にレトロスペクティブを進めることを実感できた。

レトロスペクティブ(ふりかえり)といえば

弊社でもよく使われるレトロスペクティブの手法で「KPT」がありますが、レトロスペクティブのやり方は一つではなく、レトロスペクティブの場をどういう風に過ごしたいかで、アクティビティを使い分けられるといいなと、以前から思っていました。

場に集まる人の発言は、感情・関係性・過ごした日々の行い・日々の長さといったものを抜きには語れません。

その場に各自がどう挑むか、意義を感じられるか、状況をどう理解しているかは今後の振る舞い方や日々を過ごすアクションに大きく左右するのではないでしょうか。

そこで、今回は、アジャイルレトロスペクティブという書籍で紹介されていた、目的毎に向いている手法を組み合わせてやってみました。

私たちはどんな集まりか?

その日は、社内インフラやセキュリティに関わっているメンバー4人が集まりました。 専任の前任者から4人が引き継ぎ、チームとして活動しており、ざっくりいうと職場環境の維持や改善の対応に取り組んでいます。引き継いでから1年半程度が経っており、日々のタスクやチームはうまく回っているが、少し安定しすぎているチームです。前回のふりかえりから長い日々を過ごしたので、自分たちの今後のことも考えていきたいねと事前に話していました。

私たち、チームとしては「目標」「データ取集」よりも、個々の考えを元に「今後の活動方針」を合わせていきたいという各自が関わる意義を再認識したいフェーズと捉えています。

そこで今回やったレトロスペクティブの紹介

前提事項をお伝えするのが長くなってしまいましたが、今回やったKPT以外の手法(アクティビティ)をご紹介したいと思います。

選んだアクティビティ

1つ目: 場を設定するアクティビティ 「ESVP」

まずは集まってレトロスペクティブを開始する時の準備のアクティビティです。 この種のアクティビティを実施することによって、自分たちがどう思っているのか、温度感などを知ることができます。

有名なものだと「チェックイン」あたりですね。

私たちが今回選んだのは「ESVP」です。これは長いイテレーションを過ごした時に適しており、「レトロスペクティブの作業にフォーカスできるように、みんなのレトロスペクティブに対する考えを理解する」目的として最適とのことです。 面白いのが、4つの立場に分類して自分がどう思っているのかを伝えるが、他の人には自分がどの立場かは知られないということです。

よく言われる心理的安全性を確保して、発言を促せるという工夫があることに気づきました。

4つの分類

各自のレトロスペクティブの場にいる温度感そのものです。

  • 探検家:新しいアイデアを見つけたいと熱心な人。
  • 買物客:情報を見渡してて、アイデアを知りたいという人。
  • 行楽客:レトロスペクティブの作業には関心はないが、他のことをしているより良いと思っている人。
  • 囚人:参加を強制されていると思っている人。

書いて捨てた

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一人が全員から集めた付箋をみて、集計し書き出しました。 付箋は破ってゴミ箱に捨てることにより、誰がどの立場かはわからないけど、どういう人がどれくらいいる事実だけはわかっています。

結果を見てみると、想像していた通りではなく、ズレすぎず、面白かったです。 この場をどうしていくかの指標になりました。

2つ目: 何をすべきか決定するアクティビティ 「質問の輪」

次のアクティビはこの場で「何をすべきか決定する」です。 今回の場では洗い出しを行うつもりはもともとなかったので、感情・想いをベースに話を進めたり、均等に考えを引き出すことに重きをおきました。

このアクティビは、「次のイテレーションにおける試みやアクションステップをチームが選びやすいようにする。特にチームメンバーがお互いの意見を聞く時に使用するとよい」そうです。

私たちにぴったりです!!

ファシリテーターをおかず、均等に発言したり声の大小にかかわらず、しゃべる・聞くということがテンポよく、うまくできるという仕組みです。

やり方は簡単 質問に答えて質問をするだけ

円になって座り、最初の回答者を決めて「次のイテレーションで取り組みたいことはなんですか?」の質問に自身の考えを述べてもらいます。 これまでのやりとりを踏まえたうえで、自身の考えを述べて、さらに次の人に質問をするという流れです。これを2周くらいすれば、質問がブラッシュアップ・深掘りされて、気づけばいい感じにアクションが具体化と合意に近づいていきます。

どうだった?

ESVPの流れから、私たちがこういう状況にあることをどう思うか?から始まり、実はお互いが状況に応じて補完しあえる関係にあって、バランスよく活動できていることを知ることができました。 話題が自然と落ち着いていき、他人の考えやスタンスを知れることによる、心のゆとりや今後も続けていくことの障害がないことがわかったのです。

長いことやっていると人の参画・移動に関する話もあがって、そこのあたりの考えも知れて良かったです。 毎回だと窮屈になってしまうかもしれないと思いましたが、たまにこういう形でやるといいですね。 非常に生産的に話が進んでいった気がしました。

3つ目: レトロスペクティブを終了するアクティビティ 「感謝」

「ポジティブにイテーレションやレトロスペクティブを終える」目的に利用できるそうです。 長い期間やっていると日々あったこと、心に思っていたことをあらためて感謝の意を込めて感謝を伝えられるのははうれしいものです。

感謝することは任意で、誰も話さない時間がきたら終わるという、実施方法となります。

自然とでる言葉たち

この業務に関わっている人全員が、主たる業務というわけではなく、時間を確保をして協力しながら活動を進めています。 時には個々人が主たる業務のピークがきて、動きが鈍くなってしまう時もあります。 そういう時に誰かが主体的にやってくれたことはよく覚えていて、感謝の言葉が出ることが多かったです。

不思議なものですよね。自分がやった時のことは覚えていないのに、やってもらった行為はよく覚えているというのは・・・

このレトロスペクティブをとおして

終わってみると、普段よくやっている

  • ブレスト
  • タイムライン
  • KPT

などでおこなう「データの収集」「アイディア出し」「何をすべきか決定する」とは違うアクティビティで、終わった時の気持ちの感覚も独特のものがありました。求められていること・貢献したいこと・状況が変わることによって、立場を表明して立ち去ったり新陳代謝するは必要だと考えています。そういう時に、「いい意味でうまくできそうだな」という手応えが掴めました。自分たちが、なぜこの場にいるのか、考え続けたりやり方を工夫することの大事さをあらためて感じられました!

1時間30分があっという間で、いい時間を過ごせたと思うので、応用して他の場でも色々なアクティビティを選んで使ってみたいなと思いました。