株式会社アットウェアは、WeWorkが日本において東京都区外にはじめてオープンしたWeWork Ocean Gate Minatomiraiに本社オフィスを移転、WeWorkコミュニティのメンバーになりました。

WeWorkとは、米国ニューヨーク市に本社を置く、スモールビジネスや起業家向けのシェアオフィスを提供するスタートアップで、2010年に創業の後、すでに世界100都市/500ヶ所以上のロケーションに広がるグローバルネットワーク、コミュニティです。

What Is WeWork? より引用:

WeWork は、企業や個人が成長していくためのワークスペースを提供するグローバルネットワークです。あなたがクリエイティビティを発揮し、仕事に集中しながら、人的ネットワークを拡げられるオフィス環境を提供することで、仕事を豊かな人生に変えるお手伝いをします。ここで仕事をする本当の意義を見つけることができれば、メンバー間のコラボレーションが生まれ、オフィスが自宅のようにくつろげるスペースとなるはず。あなたもきっと月曜日にこのオフィスへ来ることが待ち遠しくなることでしょう。

本社オフィスの移転は、業務拡大による空間的な制約からの開放や経済的な理由もさることながら、WeWorkというコミュニティにジョインすることが非常に大きな動機になっています。


一つ目のねらいは多様な人が集う場で私たちエンジニアが日常的にテクノロジーに閉じない刺激を受けること。

アットウェアのビジネスは顧客との恊働によるSI(System Integration、システム構築/ソフトウェア開発)であり、私たちのミッション「システムで人々をしあわせにする」を実現するための活動だと考えています。「恊働」という言葉は「複数の主体が、何らかの目標を共有し、共にを合わせて働く」という意味があり、私たちはエンジニアとしてエンジニアリングとテクノロジーに拘りと誇りを持って、顧客のビジネスの価値に共鳴をし、その目的を達成していきたいと思っています。一方的に私たちの技術やサービスを利用者に提供するのではなく、また言われるがままに顧客からの要求に応えていけばよいわけでもない。

古のシステム構築/ソフトウェア開発においては解决したい課題が比較的明確(例えば人手でやっていたこの業務を電子化して効率向上したい等)で、いわゆるウォーターフォール開発、すなわち顧客や上流工程に長けた人が要件を定義し設計し、エンジニア(あるいはプログラマ)はそれを実装していく開発プロセスがうまく機能していました。

一方、システムやソフトウェアがこれまでにないあらたな価値を生み出す起点となって、ビジネスそのものを駆動する現在、ビジネスとエンジニアリングあるいはテクノロジーが明確な界面を失いつつあると感じています。また多様化と変化が激しく近い将来ですら予測できず正解も明確でないなか、小さな失敗を許容し改善と進化を繰り返すリーンやアジャイル開発が広まってきました。

エンジニアであってもテクノロジーに閉じず、幅広くビジネスや社会に関心を持って共通言語を増やす、テクノロジーとビジネスが交わるところを探れる力を持つ。 もちろん私たちも日常的にWebなどで様々なビジネスやサービスには触れていますし、実際にも利用もしています。ですがテクノロジー系の勉強会やコミュニティにエンジニアが集まるように、リアルな場で人と関わることで得られること、感じることとはだいぶ違う。じゃぁ、ビジネス系のイベントや異業種交流会のようなところにわざわざ足を運ぶべきというのも違和感を感じます。エンジニアは総じてシャイでそういう場は苦手ですし、そもそも異業種交流会は営業先を見つける場でしかないことも多い。

WeWorkにはスタートアップから大企業のブランチまで、本当に様々な組織・人がジョインされています。冒頭のコンセプトの通り、メンバー間のコラボレーションを促す場作りがなされた環境で、わざわざ足を運ぶまでもなく、コーヒーを注ぎに行ったパントリーエリアで隣に立った人との何気ない会話、帰り際にオフィスの目の前でやってるイベントをちょっと覗いてみれる。

ソフトウェア開発や普通の社会活動では触れることのない話題。世の中にはどんな問題があってどんなビジネスが生まれようとしているか、どんな技術的な課題を抱えているのか。あるいは、どんなビジネスがどんなテクノロジーで実現されているのか。 こういったものの積み重ねが個々の関心の幅を自然と広げていくのではないかと期待しています。


もう一つは、恊働の機会の創出です。

上でも述べた通り、アットウェアのビジネスは顧客との恊働によるSIであり、これまでにも非常に多くの顧客のシステム/ソフトウェアを開発してきました。その一方で、創るだけでなく新たな事業/サービスを生み出す、運営することにもチャレンジしてきました。その一つである公立はこだて未来大学と設立した株式会社未来シェアの公共交通の最適化事業は、まだまだ道半ばではあるものの大きな期待をいただくまでになりました。ただ、うまくいかなかったチャレンジもたくさんあります。

アットウェアはわずか40人にも満たないエンジニアが中心の組織です。どれだけビジネスへの関心を身につけたとしても、私たちだけで新たな事業をゼロから生み出すことは非常に難しい。むしろ私たちは高い技術力を持つエンジニア・チームとしてエンジニアリングを提供し、事業に長けた人や特定の技術/研究分野を究める人と恊働していくこと、コラボレーションしていくことが社会的な成果に繋がるのではないかと考えています。

また、近年、多くの企業がソフトウェアの内製化へと向かっています。一方で思うようにエンジニアの採用が進まない、採用してもチームとして機能し成果を挙げていくには時間がかかるように思います。個のエンジニアを集めてチームを作るのではなく、エンジニアのチームとしてエンジニアリングの提供を受け短期的に成果を挙げる、その間に徐々に独自のチームを育てていくモデルが現実解になりうるのではないか。

WeWorkに集うコラボレーションを模索する先進的な企業とWeWorkのプラットフォームを通じて関わりを持ち、近しい距離で恊働による事業/サービスを創出していきたいと思っています。


今回のWeWorkへの本社移転は非常に悩んだ末の大きな決断であり、大きな転機になるものと考えています。ですが、これまで同様、私たちはSIerとして、エンジニア・チームとして、創ることに誇りをもって、私たちのミッション「システムで人々をしあわせにする」の実現に向け、チャレンジしてまいります。