皆さん、職場で「ふりかえり」してますか?
振り返るといっても、遠い過去のことを思い出して「昔は良かった」などと愚痴をこぼしあう訳でもなければ、「毎日会社で寝泊り」などと武勇伝を語り合うわけでもありません。
過去は過去でも直近の過去を振り返り、続く直近の未来をより良くしていくための行動を決定するのが、アジャイルプロセスでいう「ふりかえり(回顧 – Retrospective)」です。
より厳密に言えば、アジャイルプロセスの代表的手法の一つである
「XP」のプラクティス(実践項目)の一つです。
「ふりかえり」はXPの他のプラクティス「計画ゲーム」「ペアプログラミング」「スタンドアップミーティング」などに比べて、既存の開発プロセスを大きく揺るがすことなく取り入れることが容易です。
節目節目にちょっとの時間を作ってメンバが集まれればいいだけですから。
アジャイルな開発プロセスを取り入れていない場合でも「ふりかえり」(或いは同等の活動)を行っている方は多いのではないでしょうか。
さて、「XP」や「ふりかえり」の詳しい説明は他所に譲るとして、ここでは実際に弊社で行っている「ふりかえり」の方法を紹介したいと思います。
弊社の「ふりかえり」は「KPT」を用いて行います。「KPT」は「Keep/Problem/Try」の頭文字をつなげたものであり、ふりかえりの手法としては最もポピュラーなものでしょう。
「KPT」の手順は次のとおりです。
1)Keepパート(以下Kパート)
良かったこと(続けたいこと)を列挙する。
2)Problemパート(以下Pパート)
悪かったこと(問題となったこと)を列挙する。
3)Tryパート(以下Tパート)
続けたいことを続けていくための、或いは問題を繰り返さないための、計画を練る。
一言でKPTといっても、やる人によって細かい進め方はそれぞれ違うと思います。
弊社でKPTを行う場合でも、特にKパートとPパートの進め方について、大きく分けて2通りの手法が使われています。
・挙手発言方式
時間を決めて(たとえば10分)、その間は思いついた人からどんどん挙手して発言してもらい、ファシリテータがホワイトボードに箇条書きしていきます。
予定していた時間になるか、メンバの手が挙がらなくなりファシリテータが十分な意見が出揃ったと判断したら終了です。
・ポストイット方式
最初に短い時間(3分程度)、各自思いつく限りのネタをポストイットに書き溜めてもらいます。ポストイットは大き目のものを使い、1枚に1ネタを書くようにします。
その後、順番に1枚ずつ提示してもらい、貼り出していきます。提示された意見と同じ内容のポストイットを持っている人には、それも一緒に出して貰います。
基本的には書き溜めたポストイットを全員が出し切るまで続けます。(無くなった人は「パス」です)
それぞれのメリットデメリットを考えてみますと・・・
・挙手発言方式
人の意見を聞いているうちに、最初は見逃していた(忘れていた)ネタを思いつくことがあります。
ファシリテータが場をコントロールしやすいです。意見が出てこないとき、ノリが悪いとき、あえて馬鹿馬鹿しいネタを出して発言のしきいを下げて見たり、「○○についてはどうだったか」などと新しい視点を提示するなどの手法を、その場に応じてダイナミックに展開することができます。
逆に言えばファシリテータとしての能力を問われます。
また、特にPパートでは、問題が出ると同時に原因追求や解決策の提案など、本来Tパートで行うべき事柄に話が流れていってしまうことがあります。Pパートは問題の存在を認識することが目的なので、流されていかないようにうまく制御しましょう。
・ポストイット方式
思いついたけど他の人の発言を聞いてる間に忘れてしまった、ということが防げます。
参加者も手を使って字を書いたほうが、脳みそが活性化されるかもしれません。
ゲーム感覚で、手札(未発表のネタ)が残る残らないという点に自然と意識が行くためか、出てきたネタについてその場で突っ込んだ話になっていく可能性が挙手発言方式に比べて低いようです。
模造紙に貼ればそのまま保存可能なので、別の場所に貼り出したり、次回はそこから更に積み重ねる形で利用することもできます。
メンバが自身の思いをうまく短い文章にまとめられない時、そのネタは諦められてしまい世に出てこないかもしれません。逆に細かいネタまで出しすぎて、大事なネタが埋もれてしまうことも・・・。
ファシリテータが自分で書いた文ではないので、Tパートで読み直したときに「あれ?これはどういう意味でしたっけ?」となってしまうことがしばしばあります。
また、物理的問題として、所詮ポストイットに書くサイズの文字なので、目の悪いメンバは少しやりにくさを感じるかもしれません。
ちなみに、私の個人的な好みとしては、自分がファシリテータをやる場合には挙手発言方式のほうが、やりがいがあって好きです。
しかしながら、参加者の人数が少し多めになってくる場合には、参加者全員の意見をまんべんなく引き出すのが難しくなってくるので、ポストイット方式も検討することになります。
・・・いかがだったでしょうか?
このコラムの内容が貴方のふりかえりのカイゼンに、新しい視点やアイデアのヒントを少しでも与えられれば幸いです!
次回は、Tパートでの注意点や、KPT全体でのファシリテーションのコツを紹介したいと思います。
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サービス創生事業部
シニアアーキテクト
佐竹 雅央